受付DXから、ワークスタイルDXへ。Acall(アコール)が目指す働き方の未来
「受付を自動化したい」「会議室や座席の管理システムを導入できないか」自治体におけるDXの導入として、このようなニーズが拡大している。
経済産業省「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」にも選出され、注目を集めているのが「Acall」だ。来客対応から職員の働き方まで、多様なニーズに応えられるプラットフォームであり、庁内の業務効率化、行政サービスのアップデートを加速させるべく、実証実験にも着手している。
Acall株式会社
マーケティング部 広報担当 佐藤 洋美 プロフィール
- 美容業界・通信業界を経て、PR Agencyに転職。
- 国内企業を中心に食品、アパレル、コスメ、家電メーカー、地方自治体等の広報・ブランディング・マーケティングを担当。
- 総合広告代理店のプランニング部に出向後、ビジョンに共感できる企業の事業成長に深く関わりたいと考え、Acallへ入社。
- 現在は広報業務を中心にブランディングやWebマーケティングとの連動施策を担う。
Acall株式会社
インサイドセールス 岡野 高大
- 大学卒業後、食品卸売会社へ入社して営業を経験。
- 大手通信会社へ転職後、サブマネージャーとして業務用複合機の営業を担当。
- その後、理化学機器等を扱う専門商社に転職し、民間企業・公的機関への営業を担当。
- 予算を4期連続達成したしたのち、輸入商社へ転職。
- 製造業へ海外メーカーの溶接機や自動化設備の提案営業に従事。
- 育児をきっかけに仕事と生活の関係に関心を抱き、Acallへ入社。
自治体から民間まで7000社で導入されている「Acall」
―受付、会議、席予約など各種の対応をクラウドで一元化できる「Acall」の特徴と、導入している自治体の事例について教えてください
【佐藤】
Acallの機能としては大きく4つあります。
まず「受付チェックイン」は、受付や入退館の管理を自動化するシステムで、受付の取次業務の効率化を担う機能。
「会議室チェックイン」は、会議室の予約・利用状況を管理できるシステムです。
「スポットチェックイン」は一般的には座席予約システムやホテリングサービスと呼ばれるシステムで、フリーアドレスによるオフィススペースの有効活用に必須のソリューションと言われています。端的にお伝えすると、座席を事前に予約ができ、かつ誰がどこにいるのかわかるのがメリットです。また、「スポットチェックイン」の中には、自宅等のサードプレイスにおいてメンバーの居場所や稼働状況を可視化できる機能もあります。
「受付チェックイン」「会議室チェックイン」は、受付やオフィス管理の業務効率化が便益として大きく、「スポットチェックイン」は、メンバーが円滑なコミュニケーションを図ることに繋がる便益があります。
受付、会議室、座席、サードプレイスのすべてのチェックインサービスがそろっているのはAcallのみで、ワンパッケージでワークスタイルのDXが遂行できることが利点です。
【岡野】
自治体での事例では、2018年から神戸市東灘区役所と実証実験を行い、受付窓口案内をスムーズに行うためのアプリケーションを導入。それまでは案内係の対応で属人化していたところを、タブレットを通じて誰でも情報を検索できるシステムに置き換えたことで職員の案内不可件数が61.7%減少、1件あたりの平均案内時間も36.9%減少し、窓口業務の効率化を実現できました。現在では神戸市の全区役所で導入に至っています。(※受付窓口システムは新規受付を終了しております。現在は受付チェックイン・会議室チェックイン・スポットチェックインの提供が可能です。)
その後、埼玉県深谷市にも導入。東京都三鷹市では、会議室管理機能でご活用いただいています。
―自治体からの問い合わせも増えていると伺いました
【佐藤】
そうですね。自治体の庁舎の建て替えなどによる庁舎内の受付自動化や会議室予約システムの検討、フリーアドレス化に伴う座席予約システム導入の相談が増加傾向にあります。
【岡野】
勤務状況を可視化したいというご相談もあります。例えば“A勤務…午前8時30分~午後5時15分”“B勤務…午前7時30分~午後4時15分…と15分刻みのシフト制を導入している自治体が多く、マネジメントの煩雑さを解消するために「スポットチェックイン」に興味を持ってくださることも多いです。
加えて、そうした業務効率化の目的はもちろん、自治体でも新しい働き方を推進している、魅力的な職場であるといったPRで職員採用に繋げたい意向もあり、その一環として興味を持っていただいている側面もあるようです。
あとは紙の資料ベースで仕事をしているものの、「ペーパーレス化とフリーアドレス化を推進したい。そのために座席予約システムと会議室予約システムが必要だと感じるので検討したい」という相談もありますね。
ペーパーレス化はフリーアドレス制の導入と同時並行で着手しなければいけないので、その点で検討に時間を要したり、セキュリティを懸念されるケースもあります。
―セキュリティに関して、住民の方の情報を扱うわけではないので総合行政ネットワーク(LGWAN)との兼ね合いに関しても問題はないので、そこはぜひ発信していきたいですね
自治体限定で無償提供・実証実験プランを提供
【佐藤】
現在、自治体限定でAcall実証実験(無償)のご提案をさせていただいています。
具体的な内容としては、弊社のシステムを導入検討いただく際、一か月間の無料トライアル期間をご用意させていただいていますが、実証実験にご賛同いただける自治体に関してはこのトライアル期間を3ヶ月と長めにご提供します。
また、システム導入前に、コミュニケーション、モチベーション、エンゲージメント、他部署との交流など各項目においてアンケートを実施し、3か月後に同じ項目で再度アンケートを取り、各項目の効果を数値で比較分析し、導入後の変化、成果をインフォグラフィック等にして共有します。
この結果は自治体HPやパンフレット掲載はもちろん、当社からプレスリリースで発信&メディア配布などを行い、PRしていく予定です。
【岡野】
実証実験を通じて自治体が先進的なワークスタイルに着手していることや職場環境を発信し、地域におけるモデルケースとなったり、職員採用に繋げたり、各都道府県におけるデジタル化を先導していくような、そういった好循環の一助になればと考えています。
自社で実装しながら多様な働き方を実現
―「オフィス空間を快適にしたい」「ワークスタイルを改善したい」という自社のウオンツからAcallの開発に至ったと伺いました。
改めて、会社設立の背景を教えてください
【佐藤】
当社は2010年に設立し、当時は法人向けのシステム開発を受託しながら自社でプロダクト開発を行っていました。その過程で自分たちのワークスタイル改善のシステムを開発し、それが好評で社名にもなっている「Acall」というシステム・プロダクトを発展させサービス化したという背景があります。
現在は神戸を本社におき、東京、シンガポールと3拠点で社員数は計70名で、北は北海道・西は宮崎まで全員がフルフレックス・フルリモートながらも「Acall」を活用してスムーズに勤務しています。
【岡野】
フルフレックス・フルリモートと聞くと、コミュニケーションや組織へのエンゲージメントの不足を懸念されるかもしれませんが、弊社では社内制度を充実させることで自由な働き方を選択しながらパフォーマンスを上げ、自分たちが率先して新しいワークスタイルを実践しています。試行錯誤した経験をプロダクトに活かせるように皆が意識していますね。
―まさに御社がワークスタイルDXを体現しながらサービスを提供しているのですね。
今後についてはどのような展望を描いていますか?
【佐藤】
Acallの機能を軸にお話しすると、現在各社ごとにチェックインログやオフィスの受付・入退館履歴、会議室や座席の利用履歴などの詳細なログを記録することが可能となっています。このログを活用して会議室や座席の利用頻度や遊休空間を可視化することができます。将来的には「Aさんは週に3日リモートワークが適している」とお知らせしてくれる機能など、個々に対する最適な働き方をレコメンドできたらいいなと考えています。
「この働き方をしてこのように生産性が上がった」というところをデータ化することで、多様な働き方がさらに受け入れられるようになると思っています。
【岡野】
“多様な働き方”といってもまだまだマイナス面への懸念もあると思います。弊社のプロダクトによってマイナス面を解決し、事業成長と働く側の幸福度の向上を両立させることを目標にしていきたいです。
自治体DXが地域活性化へのシナジーに
―最後に、自治体職員さんへメッセージをお願いします
【佐藤】
組織として「自社は柔軟で多様な働き方が合っている」といえる判断材料の一つは生産性、もう一つは優秀な人材の獲得・維持になるかと思います。その点について、弊社がこれまで7,000社以上の企業の働き方を支援し、その過程で明確になってきたものがあります。それは何かというと、より良い組織にしていくためには“オフィス作り”“ITツール活用”“制度作り”の、三つを必ず実行することが欠かせないということです。円滑に事業を推進している企業はこの三つは必ず実行されていて、何か一つが欠けても成り立ちません。
弊社は“人々の「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界を実現する”というビジョンで事業展開をしており、これは自治体の皆さんが掲げる社会や地域の振興、企業誘致を含めた産業の発展といった経済的な面においても目指している未来と合致すると考えており、そのあたりも共有しながら、全般的なサポートをさせていただけたらと思っています。
【岡野】
前述してきたように、ここ数年で自治体各方面からの問い合わせも急激に増加しておりまして、DXへの関心の高さを実感しています。先ほど申し上げた通り、魅力的な職場環境、採用、モデルケースにしていきたいというお声もいただいています。
「柔軟な働き方をする」「魅力的な職場にしていく」という点においては、自治体も民間企業も、そこに境界線はないと個人的には思っています。他方で、当然ながら自治体独自のルールはあると思うため、私たちがこれまで積み重ねてきた知見と合わせながら最適な支援をできればと思っています。