ファイターズふるさと納税[Vol.1]
ボールパークを契機としたまちづくりを推進し、地域の魅力・活力向上を牽引
北広島市
企画課 課長 下野 直章 プロフィール
- 1979年生まれ、広島大学大学院修了後、北広島市へ入庁し、社会教育課、税務課、文部科学省出向を経て、平成30年4月から教育総務課長。
- 教育政策、GIGAスクール構想、学校の適正配置、小中学生の姉妹都市交流等に携わる。
- 2023年4月に企画課に異動し、現在は、市政の総合調整、地方創生、行財政改革、地域公共交通、広域行政等のほか、ふるさと納税業務に従事。
- 好きなファイターズの選手は万波中正選手。
新球場の誘致・移転決定が市の活気と魅力度向上に寄与
―まず北広島市の概要について教えてください
北広島市は札幌と新千歳空港のほぼ中間に位置しており、人口は約5.7万人。丘陵地帯にあり、居住、ビジネスにおける交通利便性と豊かな自然の中での暮らしが調和したポテンシャルがある街だと自負しています。一方で少子高齢化、人口減少による活力低下などが課題として生じている現状があります。
―これまで札幌市だった北海道日本ハムファイターズの本拠地がボールパーク新設とともに北広島市に移転。自治体としての認知度も高まっている印象があります
札幌ドームからの移転構想が公になったのが2016年。北広島市としてはかなり早い段階から誘致に取り組み、その甲斐あって見事実現しました。単なる球場新設を超え、“北海道のシンボルとなるボールパークを核に札幌圏の魅力と活力向上を牽引する拠点の形成を目指す”というファイターズ側の理念にも大変共感し、まちづくりを通して地方創生を図ることで我々が目指す都市像の実現に大きく寄与する、という想いを共有できていることが大きいです。
―Fビレッジが北広島市にもたらしたものは
新球場を核に、賑わいや交流を創出するエリアの整備として2025年には北広島駅前に複合商業施設が開業予定、分譲住宅や公園環境整備を予定している他、2028年には北海道医療大学のキャンパスと病院が新設移転予定。様々な民間企業がまちづくりに共感していただき、市が有する資源と掛け合わせながら、まさにまちづくりと一体となった動きとなっています。
また、我々と北海道日本ハムファイターズの両者でパートナー協定を締結。体育授業やスポーツ教室、メディカルクリニック、食育講座など、多岐にわたる事業や交流を図っており、地域に活気がもたらされています。人口も下げ止まりの傾向で、今後周辺環境が充実すれば増加していくと見込んでいます。
「ファイターズふるさと納税」が新規ファンづくりにも寄与
―北広島市において、これまでのふるさと納税の歩みは
スタートは2018年とやや後発でした。市内に北海道銘菓「白い恋人」の工場があることから返礼品として取り扱っている他、農作物やジンギスカン、加工品など種類は豊富に提供しています。ただ、都道府県別の寄附金額で常にトップクラスに入る北海道の中では明確な特色があるとはいえません。そんな中で㈱ファイターズ スポーツ&エンターテイメントと㈱北海道企画から「ファイターズふるさと納税」という形で地域貢献ができないかというお話をいただき、我々としても是非お願いします、と。
ファイターズやFビレッジに関する返礼品専用という「ファイターズふるさと納税」は既存の返礼品ではフックにならなかった方々にも届けられますし、改めて北海道日本ハムファイターズと北広島市のPRにもなると感じました。
―「ファイターズふるさと納税」の運用開始から数か月ですが、反響はいかがですか
これまで我々が提供していたふるさと納税の返礼品の平均額よりは高額なものが多い中、既に一定の成果や反響があります。寄附者の割合で言うと、北海道内が5割ほどで、東京都をはじめ、全国からも寄附をいただいており、ポテンシャルや今後の伸びしろに大きな期待をもっています。
―ふるさと納税寄附金使途の選択項目に、「ボールパーク事業」が明記されていることも印象的です
Fビレッジはまだまだ完成形ではなく、さらに賑わいや交流を生み出すエリアとして発展していく可能性にあふれています。そのためにFビレッジへのアクセスの向上を主な目的としたインフラ整備を進めています。現状の最寄りは徒歩20分(北広島駅から有料シャトルバス・タクシーも運行)の北広島駅になりますが、2028年にFビレッジから約300mの場所に新駅を建設予定であり、さらには道路の開通なども計画しています。
―参考にしたいという自治体もあるのではないでしょうか
ボールパーク新設で大きな話題を集めた本市ですが、ふるさと納税に関してもファイターズを軸に大きく動き出していることを実感しています。
プロ野球に限らず、サッカーやバスケットボールなど様々なスポーツがありますが、これまでプロスポーツとの関りでは、アスリートの活動支援などが多くありましたが、近年はスポーツによるまちづくりも各地で動きがみられます。その文脈において、民間事業者に加え、ふるさと納税などを通じた関係人口の方々の存在は非常に大きな力になります。私たちの事例が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
(取材日:2023年12月25日)