ファイターズふるさと納税[Vol.2]
20年間のプロ野球生活を経て引退。「お世話になった北海道に貢献したい」が原動力
株式会社北海道企画
代表取締役社長 田中 賢介 プロフィール
- 1981年生まれ。
- 北海道日本ハムファイターズ (2000-2012/2015-2019)、サンフランシスコ・ジャイアンツ(2013)、テキサス・レンジャーズ(2014)を経て現役引退。
- ベストナイン6回、ゴールデングラブ賞5回。
- 2020年に北海道日本ハムファイターズのスペシャルアドバイザーに就任。
- 2022年に自身が理事長を務める学校法人田中学園立命館慶祥小学校を開校。
- 主に道内の地域創生に関わる㈱北海道企画 代表取締役社長。
新たな視点で、地方公共団体の課題解決に取り組む
―代表取締役社長である田中賢介さんは、日米20年間の現役生活で北海道日本ハムファイターズでは18年間プレーし、優勝や日本一にも大きく貢献。引退後も北海道を中心に多方面でご活躍されています
ありがとうございます。2019年に引退してから北海道日本ハムファイターズにはスペシャルアドバイザーという立場で関わってきました。道内各地で野球教室やトークショーなども開催し、地域の方々と接点を持つ中で、ファイターズ球団はもちろんお世話になった北海道に貢献していきたいという思いが揺るぎのないものになっていました。そして様々なご縁で学校法人田中学園を設立。おかげ様で道内外から注目をいただき、166名の入学者を迎えて2022年に札幌市に田中学園立命館慶祥小学校を開校。ここから、さらに多くの学校教育を充実させていきたいという思いを持つようになりました。
―学校法人とは別に㈱北海道企画として自治体との連携もされています
最初は当学園に興味を持ってくださった北海道雨竜町との教育連携を経て、包括的連携協定を締結しました。田中学園の英語教師の派遣や英語での体操プログラムなどを提供しています。
その後、北海道白糠町の方々とお話をする機会に恵まれたのですが、白糠町はふるさと納税で全国トップクラスの人気を誇る自治体であり、寄附金を子育て支援や教育中心に活用されています。教育施設や環境が変化を遂げ、充実している様子を目の当たりにしたことで、ふるさと納税はまさに地方公共団体の課題解決ツールであると実感しました。寄附意向としても「教育・子育て支援」への希望が集まり、教育とも非常に相性がいいという特徴があります。この素晴らしい制度を活用し、自治体の寄附額増強をサポートし、北海道の地域活性化に貢献していきたいと考えるようになりました。
―教育から地域創生に取り組まれていたのですね
そうですね。私が関与する分野でふるさと納税を展開していきたいと考えたときに、北海道日本ハムファイターズは北広島市との強力な連携関係もあるため間違いなく実現できるだろうという確信を持ち、プロジェクトの提案をしました。ファイターズが新たな挑戦を重視している点ともシナジーを生み、両者に迎合され、スムーズな導入でした。
プロ野球初となる、球団公式ふるさと納税高額シーズンシートなど好調
―貴社の業務領域は
全体的なプロジェクト管理、ウェブサイトの開発・運営、返礼品の企画といった範囲を担当しています。
2023年11月23日のファン感謝祭「F FES」でファイターズふるさと納税ブースを出展した際に、ファンの方々から「こんなことができるんだ」という驚きとともに実際に寄附をいただいて「はじめてふるさと納税をしました」「こんな手軽なんですね」などの声もありました。オンライン・オフライン含めて認知していただくことの大切さを改めて感じましたし、ファイターズがきっかけでふるさと納税を始めた、結果的にメリットがあって良かった、という方を増やしていけたらいいですね。
―スポーツチームでふるさと納税ポータルを運用されている前例が少ない上、プロ野球界では初ということで、試行錯誤もあったかと想像します
返礼品に関して、応援用タオルやユニフォーム等のグッズがいいのか、チケット関係がいいのかは正直やってみないとわからないなという思いもあり、まずはできるところから着手していきました。サイトオープンから段階的に返礼品を増やしていますが、やはりここでしか得られないグッズや、イベント・体験は反響が多く、今後も充実させていきたいですね。
昨今のふるさと納税において体験型返礼品はひとつのポイントとなっていると思いますが、我々もまさに元プロ野球選手とのマンツーマン指導や解説付きシートなど様々な企画を投入していますし、ファンとの交流ができたり、ここだけ、この日だけというまさに貴重な現地体験はこれからも引き続き企画していきたいです。
―今後の抱負と自治体にメッセージをお願いします
エスコンフィールドでの1試合に約3万人の観客が来場し、年間70試合が開催されることを考慮すると、球場内でのPRブース設置や巨大ビジョンを活用したふるさと納税の広告は多くの方に届くことは間違いないですし、豊富なファンや顧客との接点は大きな利点です。
日本国内のふるさと納税寄附総額が現在1兆2000億円程度で、国は2兆円を目標としているとも言われています。資金調達だ、返礼品競争だ、とネガティブな見方をされることもありますが、実際に関わってみるとファンエンゲージメントにおける大切な要素が多く詰まっていることを痛感します。私としても、これまでの活動や自治体のふるさと納税関連業務を請け負う企業や関係者とのネットワークなども活かして地域に貢献し、関わる人すべてが「幸せだ」と感じられる取り組みをどんどんしていきたいです。
(取材日:2023年12月22日)