一般社団法人 自治体DX推進協議会

ファイターズふるさと納税[Vol.3]
年間約346万人超の来場者、ファンクラブ会員を軸に球団と地域の発展を

 


 

株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 事業統轄本部 企画統括部 統括部長(執行役員)兼 事業企画部部長 小林 兼様

株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
事業統轄本部 企画統括部 統括部長(執行役員)
兼 事業企画部部長 小林 兼 プロフィール
  • 1980年旭川市生まれ。
  • 北海道大学経済学部卒業後、三菱UFJ 銀行を経て、2020年4月に株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントへ参画。
  • 2024年1月より現職。プロ野球球団・北海道日本ハムファイターズが2023年3月に開業した「北海道ボールパークFビレッジ」の企画全般を担当。
  • プロジェクトを通じてスポーツと北海道の価値を融合したWell-beingな空間、産官学連携での社会課題の解決や持続可能なまちづくりの実現を目指す。

 

 


 

 

野球興行の有無に関わらない、エンターテイメント性で集客力が大幅に向上

 

―貴社の概要を教えてください

新球場・ボールパークの構想段階からファイターズをはじめとした複数の企業と北広島市で様々な計画が推進されてきました。そして、ファイターズの事業部門である事業統轄本部の機能を移管し、新球場を保有・運営し、“北海道のシンボル”となる新球場・ボールパークを実現するための新会社として2019年に㈱ファイターズ スポーツ&エンターテイメントを設立しました。

 

―ボールパーク開業1年目、エスコンフィールドの年間入場者数188万人超、Fビレッジ全体の来場者数 約346万人と大盛況でした

試合日におけるデータとして、これまでは道外からの来場者は約1割程度だったのが約3割と向上していること、団体来場者数は前年比から数倍になっていることなど様々なシナジーがもたらされた結果で、本当にありがたいです。試合がない平日にもエスコンフィールド内外で季節に合わせたイベントやワークショップを実施している他、温浴・サウナ利用、ホテル宿泊、スタジアムツアー参加も含め様々な方にご来場いただいており、F ビレッジへの集客の裾野拡大に寄与していると感じています。

 

―「ファイターズふるさと納税」が誕生した背景について

我々は北広島市をホームタウンとしながら、周辺地域はもちろん北海道全体とともに地域の盛り上げ、課題解決できるような取り組みを行っていきたいという理念を持ち、様々なパートナー、ファン、地域の皆様と一緒になって、地域社会の活性化や社会へ貢献する「共同創造空間」の実現を目指していました。
そんな中で、地域に対して直接的に貢献できる案として、北広島市への寄附でファイターズのグッズなどを専用に扱うふるさと納税のポータルサイト開設しようということで、北広島市、㈱北海道企画と合意に至りました。

 

―本パートナーシップにおける役割については

基本的には㈱北海道企画と話し合いながら返礼品の企画・提供を実施しています。代表の田中さんはファイターズのレジェンドであり、球団アドバイザーの役職に加えて自ら学校法人を立ち上げ、次世代の子どもたちの育成や地域貢献を常日頃から考えている方で、ふるさと納税の企画立案においても非常に重要な役割を果たしていただいています。我々はパートナーとしてざっくばらんに意見交換させていただきながら、Fビレッジ内の様々な施設、エリアを活用いただきたいと考えています。

 

 

プロ野球チームとしての枠を超え、IP(知的財産)として成長させる

 

―「ファイターズふるさと納税」をはじめるまで、ふるさと納税にどのような印象を持っていましたか

私自身は銀行員を経て北海道ボールパークプロジェクトに共感してファイターズに参画しました。前職では海外駐在が長く、帰国後にふるさと納税という制度を知り、その活用をファイターズでも検討しました。その過程で、ふるさと納税が本来目指していたはずの“納税者と地域との強い結びつき”が失われつつあるのではないか、と疑問を感じる部分がありました。
その部分を補う意味でも「地域を応援する」という基本的な価値観を重視しています。寄附者からは「ファイターズと北広島市を応援したい」という声を多くいただき、彼らのエンゲージメントが具体的な行動に移されていることを強く感じています。

 

―返礼品として、チケットやグッズに加えてホテル宿泊や元プロ野球選手からのコーチングなど、ユニークな体験を提供されています

体験に関する返礼品でいうとオフィシャルファンクラブ「FAV」の新規入会用クーポンは反響がありますね。スポーツチームのファンクラブは総じて継続入会のファンが多い中、ふるさと納税を通じて初めてファイターズのファンクラブに入ってくださっている。ファンクラブ入会=球場に足を運んでいただくことに繋がります。また、観戦チケットも人気です。

 

―ポータルサイトというのも革新的です。ファン体験とコミュニティへの貢献にどう影響するでしょうか

ファイターズ独自のSNSやオウンドメディアといったところを活用しながら、ファンクラブ会員はもちろんプロ野球ファン、Fビレッジに興味を持ってくださっている方々、そこから派生する方々を中心にお届けしていきたいです。
ありがたいことにボールパーク、球団、選手、チア、パフォーマンスなどが各方面から注目を集め、Fビレッジというエリア、そこで過ごす時間や体験といった様々な価値を提供してファンとの繋がりを構築できたと実感しています。プロ野球チームとしての枠を超えて、IP(知的財産)としての成長を感じており、ふるさと納税においてもその価値を発揮したいです。

 

―ふるさと納税を通じたファンづくり、関係人口づくり、街づくりと繋がっている好事例だと感じました。最後に、今後の展望を教えてください

ふるさと納税の企画面においては、Fビレッジに関わるパートナー企業が多いというのも大きなポイントだと思っていて、コラボレーション商品や体験を提供できるよう取り組んでいきたいと考えています。
2024年は球団創設50周年、北海道日本ハムファイターズとしての誕生20周年、 エスコンフィールド開業1周年といった周年イベントが満載なので、関連したふるさと納税なども検討しています。
また、応援によって集まった寄附が来場者の快適さを確保するための周辺環境整備やインフラ整備といったところに役立てられ、また来たいと思っていただける良好な循環が生まれる、まさにふるさと納税の理想形だと思います。我々はプロ野球界初の挑戦をしておりますが、このイニシアティブを通じて更なる注目を集め、様々な相乗効果を創出しつつ、地域社会の発展に貢献していきたいと考えています。

(取材日:2023年12月22日)

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