ごみ分別DXが実現する、自治体業務の効率化と持続可能性の融合
行政サービスのデジタル変革(DX)が進行する中、住民の日常生活に密接に関連する家庭ごみの分別と排出に関し、スマホアプリを活用する自治体が増加している。株式会社G-Placeは、ごみの有料化業務においてリーダー的な存在として、長年にわたり自治体のごみ収集業務を支援してきた。同社は、豊富な経験と専門知識に基づき、実務受託、情報提供、システムの提供などを行っている。これらのサービスの概要と、導入自治体からの反応について紹介する。
株式会社G-Place 東京支社
公共イノベーション事業グループ 渡邊 英毅 プロフィール
- 2013年4月新卒で株式会社G-Placeに入社。入社以来、自治体営業に関わり、地方自治体の業務受託・サービス提供の営業職として従事。
- ごみ・環境政策運営、子育て支援、高齢者福祉など、幅広い分野において業務負担の削減や、住民とのコミュニケーションの円滑化などに貢献する役務の提供やICTサービスを開発、提供し様々な関わり方で自治体の業務運営をサポートしてきました。
導入が伸びている「ごみ分別アプリ
―そもそもの御社の自治体のごみ収集業務とのかかわりは?
1970年の大阪万博開催時、市内のごみ問題を見直すための様々な施策が実施されました。当時、街中に設置された青いポリバケツに直接ごみが捨てられていたため、回収や衛生管理に問題がありました。
この問題を解決するために、ごみ袋の導入が検討され、その製造・流通管理を民間に委託することになりました。当社は、この中の一企業として紙袋を使用した新しいごみ収集システムの導入を担い、その事業がスタートしました。
―今では家庭ごみを出す際に有料の指定ゴミ袋を用いる方式が普及しています
現在、家庭ごみを出す際に有料の指定ごみ袋を使用する方式が広く普及しています。平成時代に入ってから、指定ごみ袋を使用するごみ有料化政策が加速し、現在では約7割の自治体でその政策が採用されているとされています。
株式会社G-Placeは、上述のごみ袋の製造・流通管理業務から事業をスタートさせ、その関連から様々な自治体支援業務に携わってきました。当社は自治体との連携を深め、時代のニーズに合わせたソリューションを提案しています。この取り組みの一環として、アプリやクラウドサービスを用いたデジタル変革(DX)に対応し、「ごみスケ」「ソダイシス」などのごみ分別アプリを開発しました。
158自治体が利用する「ごみスケ」
―各アプリについての特徴や優位性について教えてください
当社のごみ分別アプリ「ごみスケ」は、ごみの出し方、ごみ分別辞典、ごみ出しカレンダーなどがアプリ上で簡単に確認できるサービスです。ユーザーインターフェースはシンプルで直感的に操作できるよう設計されており、ホーム画面には上記の項目やよくある質問などが掲載されています。これにより、ほとんどの疑問や問題がアプリ内で解決できます。さらに、端末の電話機能、地図、MAP、アラート機能との連携を取り入れることで、スマートフォンならではの便利さと使いやすさを追求しています。
このアプリを利用することで、住民はごみに関する情報を手軽に入手でき、ごみの適切な分別や出し忘れのリスクを減らすことが可能になります。また、ごみの不適切な分別による回収拒否のリスクも軽減されます。
―自治体側のメリットも大きそうですね
実際に「ごみスケ」のアプリを導入した自治体からは、多くのメリットが報告されています。これまでごみ分別の一覧や指示を紙の資料で配布していたため、その印刷や配布に関わる費用が削減されたという声が多く聞かれます。
また、ごみの出し方や回収曜日に関する電話での問い合わせが減少したとのことです。これにより、自治体の業務負担が軽減され、効率化が図られています。
アプリのダウンロード数が自治体の人口の30%以上に達している例もあり、アクセス数も多いことから、これらのアプリが広く認知され、活用されていることが明らかになっています。これは、アプリが住民にとっても自治体にとっても便利で効果的なツールであることを示しています。
https://www.atpress.ne.jp/news/373697より
加えて、LINE連携のオプションが活用することで、ごみの品目検索、よくある質問の閲覧、公共施設やごみ関連のマップの確認などが、説明情報付きで可能になります。このオプションを導入している自治体も増加しています。
周知の面では、地元の不動産業者と連携して情報を広めたり、駅や病院などの公共施設にポスターを掲示するなど、若年層や単身世帯の住民が情報にアクセスしやすいような工夫が行われています。これにより、より多くの市民がアプリを知り、利用する機会が拡大しています。
粗大ごみ受付管理システム「ソダイシス」
―2022年にはアプリ「ソダイシス」をリリースされています
従来、大型ごみや粗大ごみの受付は、住民が申し込みからシール購入、必要項目の記載と貼付といった煩雑な手続きを経るのが一般的でした。特にコロナ禍で在宅時間が増えた際には、申し込みが増加し、自治体職員の業務負担も大きくなりました。
これらのニーズに応えて、「ソダイシス」は開発されました。このシステムは、電話やインターネットでの受付、収集リマインドメールの送信、収集指示や業務状況の管理など、これまでの様々な業務を一元化し、職員の業務効率化に寄与しています。また、システム上での決済機能も備えている点がメリットです。
粗大ごみアプリとしては後発ですが、パッケージ型のクラウドベースソリューションを採用しているため、コスト効率の高い導入が可能です。最近では、クラウドに対する抵抗感も減少しており、「これまでのオーバースペックなシステムからの乗り換えを検討している」という声も聞かれます。また、このシステムは単体での導入はもちろん、「ごみスケ」との連携も可能です。
―いずれも、手軽さと拡張性を意識されたシステムだと感じます
いずれのシステムも、手軽さと拡張性を重視して設計されています。OSのアップデート、サーバー管理、保守や不具合対応などは当社で担当しますが、自治体は管理機能を利用してシステムを自由にカスタマイズし運用することが可能です。これにより、必要な機能の選択や、天候変化や災害時のリアルタイムな情報配信も実現可能です。また、ユーザーフレンドリーなインターフェースとコストパフォーマンスの高さを自負しています。
―確かに、住民の利便性向上だけでなく、自治体の課題解決にも寄与していますね
ごみ分別アプリの運用を通じて、行政のデジタル化(DX)と住民サービスの向上に貢献しています。また、ごみ削減やサステナブルな社会に対する持続可能な貢献の一環として、自治体向けフードシェアリングサービスや地産地消を支援するアプリのリリース、防災や子育て支援のテンプレートを組み合わせて自治体ごとのオリジナルアプリのカスタマイズなど、自治体が直面する様々な課題への支援策を積極的に提供してきました。
―住民の利便性だけではなく、ごみ分別方法の問い合わせ削減、不適正排出防止など、自治体の課題解決を低コストで実現できるのですね
ごみ分別アプリの運用を通じて、行政のデジタル化(DX)と住民サービスの向上に貢献する感触を得ました。その経験を活かし、ゴミ削減を含むサステナブルな社会への持続可能な貢献を目指して、自治体向けフードシェアリングサービス(タベスケ)や地産地消支援アプリ(ロカスタ)をリリースしました。
さらに、防災や子育て支援などのテンプレートを組み合わせて自治体ごとのオリジナルアプリをカスタマイズできるようにし、自治体が抱える様々な課題や問題への支援策を積極的に提供しています。
―自治体向けフードシェアリングサービス「の引き合いが最近は多いのだとか・・・
「タベスケ」は、事業系食品ロスの削減を目的としており、食品ロス全体を意識させることを目指しています。サービス概要としては、協力店が食品ロスになりうる食品を安く出品し、ユーザーがお得に購入できます。市区町村は、サービスの登録承認や管理を担います。
市区町村、協力店、市民にとってのメリットは多岐にわたります。市区町村は食品ロス削減量の可視化や地域経済の活性化が期待でき、協力店は廃棄物処理費用の削減や店のPRが可能です。ユーザーはお得に食品を購入し、新しい店を知る機会があります。
この「タベスケ」でフードロスの問題解決に少しでも役立てればと思っています。
―今後についてはどのようなビジョンを描いていますか
私たちは、各自治体からの運用フィードバックに基づき、デフォルト機能の拡張やサービス利便性の向上を目指しています。多くの自治体からの要望に応え、コールセンター運営の総合受託や、システム提供を超えたサポート体制の整備を計画しており、これによってサービス価値をさらに高める予定です。
また、粗大ごみ収集ルートの自動化や自動設定、リユース事業者との協業を図る仕組みも構築予定です。操作性の高さとコスト効率で市場リーダーであると自負しているので、これらのイノベーションを通じてさらなる成長を目指しています。
最後に、自治体のDX化に貢献するために、私たちは常に新しい技術とアイデアを追求しています。私たちのサービスが、自治体業務の効率化、持続可能なコミュニティの構築、市民の皆様の生活の向上に貢献することを願っています。
これらの目標に共感し、私たちのサービスをご利用いただける自治体の皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。私たちは、自治体の皆様とともに、より良い未来を築くために尽力いたします。