「良い人が得をする世界」を実現する
ふるさと納税NFT・WEB3事業とは?
―【貢県度】を可視化するNFTマップ「デジさと」で切り拓く、自治体のこれから
ブロックチェーン技術の普及により、今やNFTやWEB3は私たちの身近なものになりつつある。そんな中、株式会社ICHIZEN HOLDINGSの代表取締役 水野倫太郎氏は、上場企業や自治体と連携し、NFTやWEB3を活用した事業を展開している。ICHIZEN HOLDINGSのミッションは「価値の流動性を最大化させ、資本主義を加速させること」。ブロックチェーン技術を活用することで、自治体で行われている住民の善行をNFTとして可視化し、報酬を提供することが容易になる。それによって、地域に貢献する人が正当に評価され、持続可能な地域社会の実現につながる。水野氏が語る、地方自治体の未来とは!?
株式会社ICHIZEN HOLDINGS 代表取締役
水野倫太郎
- 2017年米国留学時にブロックチェーンと出会う
- 2018年に日本有数の暗号資産メディアCoinOtakuに入社。同社にてCMOを務め、2020年に東証二部上場企業とM&Aを行う
- 2022年にICHIZEN HOLDINGSを立ち上げ、代表取締役に就任。上場企業や自治体と連携し、「良い人が得をする世界」を実現するためのNFT・WEB3事業を展開中。
- WEB3地方創生ねっと編集長/一般社団法人地方WEB3連携協会理事
「デジさと+」NFTを活用したふるさと納税支援
まずは御社の事業概要から教えてください
当社は2022年に設立したWeb3領域のスタートアップです。「Web3で価値を可視化し、流動性を生み出す」をミッションに、国内外の大手企業から自治体まで様々なWeb3事業を支援・構築しています。例えば、ANAグループANA NEO株式会社とNFTの情報発信を行うウェブメディア「NFTrip Gate」を運営しています。また、美術倉庫を運営する企業とはNFTやトークンを活用し、美術品を保管しながら資産運用ができるRWA系サービスを構築しています。メディアやトークンから地方創生まで振り幅の広さが弊社の特徴です。
地方創生サービスについても教えてください
地方創生の文脈では、「良い人が得をする世界」をテーマに3つの事業を展開しています。1つ目は中核である「デジさと」です。デジさとは人々の地域貢献を「貢県度」として可視化、NFTの販売・送付、ふるさと納税の寄附ができるプラットフォームです。2つ目のサービスは、NFTのふるさと納税企画を支援する「デジさと+」です。3つ目はWeb3/NFTを活用した日本全国の取組を発信するウェブメディア「WEB3地方創生ねっと」です。
デジさと・WEB3地方創生ねっとについて教えてください
「デジさと」は保有するNFTを通して地域での貢献や活動をNFTで可視化するプラットフォームです。Web3の特徴を活かし自社プロジェクトに限らず、日本全国各地の地域活性化プロジェクトに関わるNFTに対応しています。デジさとでは、メールアドレスの登録だけでNFT保有に必要なウォレットが生成され、取り扱うNFTやふるさと納税は全てクレジットカードで決済可能です。NFTで手間がかかる暗号資産やウォレット周りの課題は全て解決しており、普通のふるさと納税ポータルサイトと同様のユーザー体験を提供します。
ウェブメディアの「WEB3地方創生ねっと」では、Web3・NFTが活用された日本全国の地方創生事例紹介や、プロジェクトを運営する中の人の想いをインタビューしています。地方創生事例は46道府県280事例(8月26日時点)を掲載したり、20以上の自治体や企業とパートナーを結んだりと、この領域では名実ともにNo.1メディアだと自負しています。このメディア運営を通して日本全国のWeb3x地方創生の事業モデル、インタビューから事業推進時のポイント、これらを網羅することができているのが私たちの強みになっています。
では、デジさと+はどんなサービスですか?
「デジさと」「WEB3地方創生ねっと」を糧に、NFTを活用したふるさと納税支援パッケージとして「デジさと+」を展開しています。デジさと+では、NFTのふるさと納税企画の設計/立案から、プロモーション、寄附受付/販売という一連を包括的にサポートします。
企画の設計/立案時は、TikTokやInstagramまでSNSも含めた徹底的なリサーチ、メディア運営によって得た圧倒的な知識量を活かして企画案を作ります。最初の企画立案は、打ち合わせをする前=自治体の皆様からの事前情報は無しで作成します。これには2つ理由があります。1つ目は、NFTという新しい技術の活用方法をイメージしやすくするためです。事前に企画案を作り、打ち合わせ時には具体的な企画案を元にお話しすることで、小難しい技術的な説明を行うのではなく、その地域の未来を共に創るための深いディスカッションを行うことができます。2つ目は、フラットな外部の視点を提供するためです。打ち合わせした後にはどうしても聞いたお話しベースで考えることが多くなってしまいます。せっかく新しい技術の採用を検討してくださっているので、それに見合う新しい視点・アイディアを提供できるようにしています。最初の企画案では最低でも8つほどNFTを活用したふるさと納税の返礼品アイディアを提供しています。
最初の企画案をたたきに、自治体の皆さまと綿密な対話を重ねながら、地域資源の魅力をどのようにNFTに落とし込むことができるか、どのように地域課題の解決とNFTを繋げていけるかを一緒に考えていきます。
次に、設計したNFTの販売・プロモーション戦略を立案し、実行に移していきます。昨今ふるさと納税の寄附者からは、「もっと明確な使い道を選びたい」「どのような人が取り組んでいるのか知りたい」などの声を聞きます。そのような寄附者層に響くようWEB3地方創生ねっとで地域とプロジェクトのストーリーを感じられる記事・特設ページ作成や、セミナー・講演会で登壇していただくことで、どのような人がどのような想いで取り組んでいるのかを宣伝していきます。ここまでしてから寄附受付・販売を行っていきます。
「デジさと+」はこのようにNFTのふるさと納税に係る取り組みを包括的にサポートします。さらに、自治体の皆さまが気軽に活用できるよう、初期費用・ランニングコストは完全無しにし、寄附金額に対して一定の成果報酬をいただく形態をとっています。前払いでの費用負担は一切ないため、NFTという新しく未知なものに対してはじめの1歩を踏み出しやすくなっております。デジさと+では、自治体の皆さまと伴走型で推進していきます。
自治体との連携、真庭市と宇治田原村の事例
自治体との連携はどのように進めているのでしょうか?
自治体の公募案件、「デジさと+」を通じた連携、これら2つの形態で連携しています。公募案件としては、2023年5月に岡山県真庭市の「NFTを活用した地域資源活用事業実施業務」を弊社が受託しました。本案件では、真庭市の豊かな自然と文化を守り活用する「まにわネイチャーDAO」の実施に向け、市の関係者と奔走しています。今年度は絶滅危惧種のフサヒゲルリカミキリをモチーフに、NFTの販売と自然保護活動の進捗が連動し可視化されるような設計を構築予定です。他にもコミュニティと地域通貨を用いた持続可能な設計など様々な事を実施予定です。
宇治田原町でのNFTプロジェクトも進んでいるとか
宇治田原町では、既存の「未来挑戦隊チャレンジャー」という子供達の可能性を広げる取り組み。こちらをより推進するための応援寄附金型ふるさと納税にNFTを用いる方向で準備を進めています。今回の企画は「未来へ繋ぐNFTの応援バトン」として、宇治田原町が子供の未来にかける熱い姿をNFTのデザインでも表せられるように設計しています。あくまで町として実現したいことを第一にし、NFTを落とし込む方向性を考えています。
地方創生にWeb3・NFTを活用する1番のポイントは、自分の善い行動をブロックチェーンに刻み残し続けることができる点です。この文脈で、デジさとがNFTを通して可視化する誰がどの地域にどれだけ貢献したかという「貢県度」は、次の時代の信用基準になる可能性があると信じています。貢県度が信用基準になるその先で、Web3と地方創生を通した「善い人が得をする世界」を実現していきます。
(取材日:2024年6月27日)
参考サイト