一般社団法人 自治体DX推進協議会

Amazon参入で変わるふるさと納税市場
民間EC支援のノウハウを活かした
自治体向けマーケティング支援

ふるさと納税は地方自治体に対して、寄附額の拡大やPR効果による地域振興等のメリットをもたらすが、寄附額が伸び悩み苦戦するケースも多く見られる。その状況を打開する打ち手のひとつが、デジタルマーケティング施策の活用だ。自社サービスおよび民間企業支援において、大手ECモールでの運用実績を持つ株式会社イングリウッドが、Amazonのふるさと納税参入を見据え、民間企業支援で培ったノウハウを活かした自治体向けの新たなサービスを展開しようとしている。

 

 

「EC サイトに特効薬はない。地道な改善の積み重ねが大きな成果につながる」と語る丸山氏

株式会社イングリウッド DXソリューション事業部 ECコンサルティングチーム
丸山 海斗

東京都中央区出身。2021年からイングリウッドに参画。楽天、Amazonを中心とするECモールのコンサルティングや運用支援のプロジェクトマネージャーとして事業開発に従事。食品分野を得意とし、EC支援において豊富な知見を有する。海外企業の日本進出支援など、ECビジネスの立ち上げから運営までを一貫してサポートした経験を持つ。

 

「弊社が自社商品をお客様にお届けてしてきた経験を活用し、地域ならではの返礼品開発や、魅力的なPR 方法を自治体の方々と一緒に考えたい」と語る柳井氏

DXソリューション事業部 ECコンサルティングチーム
柳井 了

島根県出身。ふるさと納税制度の可能性に惹かれ、2015年からふるさと納税関連の仕事に携わる。体験型返礼品企画や、地域食材を有名シェフが手掛け自宅でも楽しめる返礼品開発を通して、地域商品の流通に尽力。サービス責任者として豊富な経験を有し、地域食材の流通増加に貢献。寄附者ニーズに合う返礼品の創出やPRを通して、地域魅力の最大化を提案している。

 


 

 

まずは、御社の概要と事業内容についてお聞かせください

丸山:株式会社イングリウッドは、東京・渋谷に拠点を置くIT企業で、今年で設立20期目を迎えます。売上高は約150億円(2023年8月期/第19期)、従業員数は約250名(2024年8月現在)を超える規模になっています。私たちの事業は大きく2つあります。1つ目は、BtoCで直接商品をお客様に販売する事業です。自社のプライベートブランドや国内外のブランド様から直接仕入れた商品を販売しています。直近では俳優・タレントのMEGUMIさんがフルプロデュースするスキンケアブランド「Aurelie.(オレリー)」の立ち上げから販売までをトータルで手掛けています。2つ目は、そこで得たデータや経験を元にBtoB事業として企業様のECをサポートするサービスを展開しています。味の素社の宅配の冷凍弁当のECサイトを始め、数多くの企業様のEC販売のご支援をさせていただいています。こうした経験から私たちが強みを持っているのは、デジタルマーケティングの領域です。約20年にわたり、自社でEC販売を経験してきたからこそ、実践的なノウハウを活用することができます。

 

3年で1,500万食を突破した宅食サービス「三ツ星ファーム」もイングリウッドの支援事業

 

 

イングリウッドのふるさと納税、デジタルマーケティング支援

 

自治体様に対する支援について、どのようなことをお考えでしょうか

柳井:来春に予定されているAmazonの参入によって、ふるさと納税市場に大きな変化が起こる可能性が各メディアなどでも指摘されています。国内最大のECモールであるAmazonが、仮に今後ふるさと納税市場においてもシェアを拡大するとなると、現在市場でも多くのシェアを持つ楽天、その他ふるさと納税ポータルサイトを含め、ふるさと納税においては自治体単位でポータルの特徴をとらえた施策が成功のカギとなると考えています。これまで私たちが自社ECサイト運営、ポータル支援(楽天・Amazon)での販売支援で得た経験とノウハウを、ふるさと納税という新しい領域に応用できると考えています。

 

私はふるさと納税制度の主旨である『生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域に貢献する』という点に強く共感しています。返礼品との出会いを通じて地域の魅力が伝わるという側面も強く感じており、ふるさと納税は地域の魅力発信の絶好の機会だと考えています。但し、ふるさと納税ポータルサイトで8年間勤務した経験から、寄附者視点を考慮しないと、目に留まる事はないと痛感しています。その上で、国内最大の流通量を誇るECモールであるAmazonという新たなプラットフォームを活用することは、地域の魅力発信において大きな追い風になると確信しています。

 

 

御社の支援体制や、支援内容の特徴をお聞かせください

丸山:弊社はふるさと納税市場でも多くのシェアを持つ楽天、そして今後参入が予定されているAmazonでの企業様のご支援実績も豊富です。そのノウハウを生かし、ふるさと納税においても自治体さまに貢献ができると考えております。
支援内容としては、ふるさと納税ポータルサイトにおける現状把握を行い、寄附向上を行うための改善施策をご提案と、商品ページの改善など、実務の部分でのサポートもさせていただきます。

 

 

具体的にどのような内容になりますか?

丸山:前提として、楽天では、また将来的にAmazonでも、サイト内検索から発生する寄附がかなりの割合を占めると予想されます。そのため、まずはその対策を進めていくことが重要になります。検索対策において重要な要素は、レビュー数、配送の速さ、商品ページの充実度などいくつかあるのですが、配送のスピードなどはふるさと納税の特性を考えると、地域内事業者様との連携などが必要であるため、クイックな改善が難しい場合が多いです。その為、まずは着手できる商品ページ画像、テキストの改善、ポータル内広告の運用、リピーター施策の提案などから取り組むケースが多いです。その後、適切な広告運用を行い、寄附額の拡大を狙っていきます。

 

柳井:こうした施策に加え、Amazonでスタートダッシュを切るための掲載準備サポートを実施しております。現状、掲載開始に向けてあまり時間がなくタイトな状況かと思っております。現状他ポータルサイトで収集済みの商品情報に加え、商品によっては登録必須情報が足りていない可能性があるのかなと予想しています。そのあたりを我々が一緒にサポートさせていただきます。

 

丸山:加えて実施するのは、FBA(フルフィルメント by Amazon)活用のサポートとなります。FBA活用工程に基づいて、商品別登録、配送前準備作業のサポートをさせていただきます。我々の企業様ご支援の経験からでも、FBA活用では想定していないトラブルなども発生した経験がございます。経験のある我々が「活用商品の選定」から「商品別登録」「配送前準備作業」まで並走させていただければと考えています。

 

柳井:ポータル支援に加えて、私どもは、ふるさと納税市場の最新トレンドを常に分析し、その洞察をもとに魅力的な返礼品をご提案いたします。さらに、弊社が運営する多様なプロダクトで培った経験を活かし、幅広い視点から新たな返礼品の開発支援も承ります。

地元食材を活用した商品開発、その地域ならではの魅力を引き出す返礼品の提案も今後可能かと考えています。マーケティング的にも、寄附者の属性情報(年齢、年収、居住地など)や行動特性を理解した上で、地元の人が気づいてない素晴らしい魅力を引き出すために重要だと感じています。さらに寄附後のフォローアップも重要です。各ポータル毎のリピーターの増加や、域内事業者様の実購入につなげられるような施策の提案も行えたらと思います。

 

イングリウッドの自治体向け支援一覧

楽天やAmazon、チョイスを含めた主要ポータルサイト(他サイト等)を使ったふるさと納税の運営を実施
  • 現状分析及び課題感の抽出
  • 各納税ポータルに合わせた戦略策定
  • 商品ページ改善/作成代行
  • SEO 対策
  • リピーター施策立案/ 実行
  • 店舗/商品のクリエイティブ改善
  • 商品撮影代行
  • 広告運用代行
  • SNS 運用代行
  • 各種レポート納品

 

Amazon 初期登録ご支援
  • 商品登録項目整理
  • 商品登録代行
  • 配送設定の準備(FBA 納品)

 

※出品予定の「商品点数」に応じてお見積りを提出いたします。

 

 

サイトの改善に近道なんてない

 

企業支援の中で最も効果的なECサイト改善策はどんなものでしたか?

丸山:ECサイトにおいて劇的な改善が見込める「特効薬」のようなものはありません。商品画像を見やすくする、説明文を分かりやすくする、在庫を確保する、配送オプションを増やすなど、地道な改善の積み重ねが大きな成果につながります。一つ一つは小さな変更でもこれらを継続的に行うことが大切だと実感しているので、最後まで「やり切る」という気持ちでサポートさせていただいています。また、Amazonのようなプラットフォームでは、細かな運用ルールや効果的な施策が日々更新されているので最新の情報を収集・分析する能力も必要となります。

 

マーケティングの専門家・丸山氏とふるさと納税のエキスパート・柳井氏。そのノウハウの融合がイングリウッドのふるさと納税支援の強み

 

 

ふるさと納税市場の今後の展望と、自治体様へのメッセージをお願いします

丸山:Amazonの参入により、ふるさと納税市場はさらなる変化を迎えると考えています。これは自治体にとって、新たなチャンスでもあります。Amazonの持つ巨大な顧客基盤や、効率的な物流システムを活用することで、より多くの方々に自治体の魅力を伝えられる可能性が広がります。

 

私たちは、自治体の現状を理解した上で、最適なデジタルマーケティング戦略を提案できると思っています。

例えば、自治体や事業者が気づいていない課題や準備すべき点を共有し、事前に対策を講じることです。流通に関してもAmazonのFBAは業務負担の削減などのメリットがありますが、事業者は倉庫に送った商品を確認することができません。Amazonのセール前は倉庫に商品が一斉に送られてくるので検品に時間がかかり想定外のトラブルが発生することも十分に考えられます。過去に海外企業の日本進出をサポートした際には倉庫選びから関わり全国を見て回ったこともあります。このときの知見をこれから自治体のふるさと納税支援でも伝えたいと思います。

 

私たちはECビジネスの立ち上げから運用まで、全てのプロセスを経験しているからこそ、予期せぬ問題にも迅速な対応が可能です。自治体が安心してふるさと納税事業に取り組めるように支援させていただきます。

 

柳井:ふるさと納税は、返礼品との出会いを通じて、地域の隠れた魅力発信ができる絶好の機会だと考えています。
ふるさと納税をきっかけに、地域の逸品を知り、家庭内や友達同士でも話題になることがあります。「この商品美味しいから、また購入してみよう」「Instagramで調べたら綺麗な景色で、旅行に良さそうだよ」などのポジティブな間接的効果も生み出す側面もあると感じています。このように、返礼品をきっかけに地域のファンが増え、実際に観光に訪れる方も増えるでしょう。

 

その上で、メディア情報なども拝見するとAmazonの活用は、自治体様にとっては直近経費削減という視点でもメリットがあるかと思います。それ以外にも、地域事業者様の商品がAmazonに掲載されることで新たな相乗効果を生む可能性があります。例えば、Amazonでの高評価が他の販路拡大にもつながったり、商品改良のヒントを得られたりするかもしれません。

 

丸山:私たちイングリウッドは、「体験」を通じてECの世界を変えていきたいと考えています。ふるさと納税もまた、寄附者の方々に地域の魅力を「体験」していただく素晴らしい機会です。Amazonの参入を新たなチャンスと捉え、より今後は自治体が主体的に効果的なマーケティング活動を行うサポートができればと考えています。私たちの経験とノウハウを存分に活用し、ふるさと納税額最大化を目指す過程の中において、皆様の地域の魅力を、全国に発信していける事を楽しみにしております。

(取材日 2024年8月7日)

 

 

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※ 本情報の内容については取材日時点のAmazonの仕様を前提とした情報であり、細心の注意を払って作成しておりますが、今後変更の可能性もございます。

 

株式会社 イングリウッド

https://inglewood.co.jp/

〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ 13F

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