一般社団法人 自治体DX推進協議会

遠隔監視・リアルタイム通信の防犯・監視カメラで、自治体業務はどう変わるか

広域を管理する自治体にとって「現地確認」というタスクの負担は大きい。防犯や災害対応といった緊迫した局面においては、少しのタイムラグが人命を左右することもある。その中で存在感を増しているのが、最新テクノロジーを搭載した防犯・監視カメラだ。

世界各国のメーカーと販売契約を結び、多様なソリューションを展開する株式会社セキュリティデザインが、“セキュリティ”の枠を超えて自治体DXの立役者に名乗りをあげる─。

 

 

株式会社セキュリティデザイン 東日本営業部 部長 伊藤 淳様

株式会社セキュリティデザイン
東日本営業部 部長 伊藤 淳 プロフィール
  • セキュリティデザインに入社して20年。
    入退室管理システム/監視カメラシステムの営業兼プロジェクト管理を
    15年程経験した後、東日本営業部の部長職を従事しています。
    具体的な業務としては、マネジメント業務として方針・収支・
    重点方策・商材管理を中心とした部門管理及び各種プロジェクト管理を
    担当しています。
    またプレイヤーとしては顧客管理及び顧客提案活動を推進しています。


 


 

株式会社セキュリティデザイン 東日本営業部 営業1課 佐藤 拓郎様

株式会社セキュリティデザイン
東日本営業部 営業1課 佐藤 拓郎 プロフィール
  • 昇降機メンテナンス会社の営業を5年間経験した後、
    2021年にセキュリティデザインへ入社。
    営業職として、主に大手法人や販売店の商談に携わっています。
    サービスの品質や安心感がより一層求められる局面になりつつある中、
    ヘルプデスクや検証部門と連携を深めながら、顧客満足度の向上に
    努めています。


 


 

 

―まずは御社の事業概要を教えてください

【伊藤】

「株式会社セキュリティデザイン」という社名のとおり、主にセキュリティ関連の商材を取り扱っています。1999年創業当初のメイン商材は入室管理システム、いわゆるカードリーダーで電気錠が開くような物理セキュリティでした。当事はクライアントが指定する製品に対応できる国内企業が少なかったこともあり、大手の入室管理メーカーと販売契約を結んで製品を輸入し、設置するところまでを当社が担っていたのです。

 

その後、防犯・監視カメラをはじめとしたセキュリティ関連のソリューションを幅広く展開するようになり、今も機器の輸入・販売から導入・設置までをワンストップで行っています。そのほか、自動搬送ロボットなど生産現場のプロセス改善や効率化に役立つIoTソリューションも取り扱っていますが、柱となっているのは「入室管理システム」と「防犯・監視カメラを主軸としたセキュリティ事業ですね。

 

同社が展開する各ソリューションの利用シーン

 

 

―自治体向けのソリューションとして想定されるものは

【伊藤】

販売店を通してハイセキュリティエリアに入室管理システムを導入されるケースがあるほか、近年特にニーズが高まっているのは防犯・監視カメラです。どのような場所でも防犯対策が必須の時代ですし、コロナ禍では体温測定カメラを全国の市庁舎に設置させていただきました。

 

ほかには、災害対策を目的とした河川水位観測や遠隔地の監視などの分野でも需要があります。単に映像を撮るだけではなく、AI画像解析によって測定・数値化等が可能なシステムがカメラに搭載されていますので、幅広い分野での活用が期待できるのです。

 

また、カメラには人や車を認識する機能も付いており、侵入禁止エリアに人や車が入った際は即座に検知してアラートを出すことができます。以前であれば人感センサーなどを用いていたと思うのですが、映像の中に線を引いておけば全て管理できるため、カメラを設置するだけでセンサーの取り付け工事は必要ありません。防犯・監視はもちろんのこと、クマの監視など獣害対策の分野にも活用できるのではないでしょうか。

 

カメラに標準装備されている機能のほかにも、やりたいことがあれば個別で開発して解決することも可能です。カメラの機種に限りがあっても、画像解析については非常に多くの種類がありますので、ニーズをヒアリングしながら機種を選定し、搭載するシステムの選定・開発を行っていきます。

 

 

 

―取り扱っているカメラの種類と、特に有用と思われる機種について

【伊藤】

中国のHIKVISIONやEZVIZ、国産のi-PROをはじめ、多数の国とメーカーのカメラを取り扱っているほか、GFDesignという当社のオリジナルブランドも展開しています。カメラはメーカーごとに特色があるので、多くのメーカーと上手く付き合いながら、クライアントに合った製品を提案していくイメージです。たとえば、暗所でも鮮明なカラー映像が撮れる超低照度対応カメラ、サーマルカメラ、顔認証カメラ、パノラマビューカメラなど、多様な選択肢から用途に合ったものを選択できます。

 

その中で最近ご要望が増えているのが、HIKVISION製のソーラーパネル付き防犯カメラです。約118時間連続稼働可能なバッテリーを内蔵しており、晴天であれば約2時間半で充電完了、日没から日の出までのバッテリー消耗は10%前後。ポールのようなものに設置するだけで、電源工事を行う必要がありません。河川の付近や山奥など電源の確保が難しい場所では、特に重宝されているようですね。

 

機器にはSIMカードが入っており、カメラで撮った映像は全て4GLTE通信により遠隔で見ることが可能です。つまり、ネット環境がない場所でも設置できますし、配線工事の必要もありません。広いエリアを管理されている自治体様では、これまで「現地に行って確認する」というタスクが大きな負担になっていたことでしょう。しかし、こちらのカメラを設置していればスマホやPCでリアルタイムの映像が見られますから、移動の負担がなくなり現地の状況を確認するまでの時間も短縮できます。

 

ソーラーパネル付き防犯カメラを支柱に設置した様子

 

 

―厳しい気象条件にも対応できると伺っています。さまざまな用途が考えられそうですね

【伊藤】

レベル12の台風にも耐えられる強度(IP67防水・防錆)がありますし、ヒーターを内蔵しているので寒冷地でも問題なく作動します。こういった機器は低温や高温に弱いというケースも少なくないのですが、こちらの製品は温度の影響を受けにくいので、北は北海道、南は沖縄まで導入事例があります。

 

用途としては、やはり河川の水位上昇や氾濫を察知したいという要望が多いほか、積雪量を確認するために導入いただいたケースもございます。強度はもちろんのこと、前述のように電源やネット環境がない場所でも設置できるので、場所を選ばずに活用できるでしょう。

 

また、夜間のカラー撮影が可能という点も大きな強みです。サーマルカメラは搭載されていませんが、かなり鮮明な映像が撮れますし、極端に暗い環境では補助灯が点灯します。この補助灯も昼間に蓄電されたエネルギーが動力源なので、特別な配線は必要ありません。

 


 

【佐藤】

最近増えているのは「太陽光発電所の監視に活用したい」というご要望です。ケーブル泥棒が多発しており、防犯カメラを設置していれば窃盗があった場合に保険がおりるため、ニーズが高まっているようですね。

 

太陽光発電所は山間部など電源の確保が難しい立地であることが多いですし、窃盗は感電の危険がない夜間に行われることがほとんどです。その点、同製品は電源も夜間撮影の課題もクリアしているので、引き合いが非常に多くなっています。

 

千葉県酒々井町の太陽光発電所における実際の導入事例では、侵入者を検知した際に発生する警報音で犯人は逃走し、窃盗を未然に防ぐことに成功。もし盗まれていた場合の被害総額は50万円にのぼっていました。カメラと連携したアプリに通知が届くので、侵入者検知後の対応も迅速に行えたようです。

 

太陽光発電所に侵入した2人組を撮影した実際の映像

 

 

─ほかにも自治体との関連性がありそうな導入事例はありますか

【佐藤】

保育園・幼稚園関係からのニーズも高いですね。小さなお子さまを守るために防犯意識が高いフィールドなので、死角を生まずに隈なく撮影できるPTZカメラ(※)の設置を希望されるケースが目立ちます。SIM通信ができるカメラを使って、保育の様子を保護者の方々にリアルタイム配信するという取組もありました。

 

また、ナマコの密猟を監視するために導入いただいたケースもございます。真っ暗な海で遠方となると通常のカメラではほぼ映らないのですが、数百メートル先まで赤外線を照射して撮影・検知できるカメラがあるので、夜間かつ遠方の監視にも対応が可能なのです。

 

※パンチルトズーム(Panoramac Tilt Zoom)機能のあるカメラ。遠隔操作で首振りを制御して360℃撮影することができる。

 

 

【伊藤】

第一次産業というところでは、産学連携で開発した新商品の【UNI-MOW】も有用だと思います。牛の発情をカメラで捉え、繁殖のタイミングをタイムリーに把握するためのシステムです。定点カメラでただ監視するだけではなく、AIを使って温度や行動の解析をします。分娩の予兆なども検知できますので、頻繁に見回りをする負担が軽減され、迅速な対応が可能になるでしょう。今は肉牛だけで乳牛には対応していないので、今後も開発を進めていく予定です。

 

YouTube動画:スマート畜産管理システム「UNI-MOW(ユニモウ)」

 

 

自治体の生の声を聞き、さらなる開発と活用の可能性を拡げる

―防犯・監視カメラの市場における、御社の立ち位置や強みとは

【佐藤】

国内でカメラの製造を手がけるメーカーがほぼ無くなってきている今、海外製品のシェアが伸びてきています。中でも中国のHIKVISION製のカメラは世界でも3割を占めるナンバーワンシェアで、日本においてもコロナ禍を機に認知と需要が拡大しました。

 

HIKVISION製のカメラはコストパフォーマンスに優れている上、最新の機能を搭載したカメラが次々と発売されています。中国のマンパワーを活かした生産力があるので、製品の欠品が少ないところも魅力です。HIKVISION製のカメラを扱っている企業は複数ありますが、当社は正規代理店として展開していますので、安心してお取引いただけているのではないかと思います。

 


 

【伊藤】

多くの国とメーカーのカメラを取り扱っており、SIer(エスアイアー)として動ける点も当社の強みですね。たとえば「貿易摩擦の問題で中国製のカメラが導入しづらい」というケースでは、国産のi-PROや当社オリジナルブランドのGFDesign、その他の国の製品をご提案します。それぞれの用途や事情に合った製品を、多様なラインナップの中からお選びいただくことが可能です。

 

近年は国や自治体で中国製の機器に対する警戒が高まっていますが、案件や用途によっては問題なく導入できるのではないでしょうか。沿岸の監視・警備等では難しくても、河川の水位や積雪の観測、有害鳥獣対策といった分野には活用できるでしょう。低価格・高性能のHIKVISION製のカメラについては、コロナ禍においてサーマルカメラが学校や公共施設に多数導入された実績もございますし、使い道を選んでご活用いただければと思いますね。

 

 

―製品の改善や、新たな開発の予定について

【佐藤】

大型で固定タイプのカメラについては、用途や設置場所に合わせて分解ができたり、首振り機能が追加されたりすると、さらに使いやすくなるのではないかと思います。ソーラー付き防犯カメラは、サーマルカメラバージョンの発売に期待ですね。

 

また、河川監視に特化したカメラの検証が進んでいるという情報も入ってきています。かなり要望の多い分野でもありますので、技術がアップグレードされて品質面をクリアできれば、より今のニーズに合った製品をご提供できるでしょう。

 


 

【伊藤】

会社全体として新しく注力し始めているのは、自動搬送ロボット(AGV)の分野です。機器自体は複数のメーカーから購入しますが、システムの開発には当社も関わっています。当社はセキュリティ事業の部分で工場とのパイプが強いので、まずは工場をメインターゲットとしてご提案を進めているところです。部品の搬送を自動化することで、工場内の業務効率化・省力化を図ります。

 

 

 

―自動搬送ロボットも制度面・技術面の飛躍が期待されている分野なので、活用が拡がりそうですね。最後に、DXに関する見解や自治体に向けてのメッセージをお願いします

【伊藤】

これまでも防犯・監視カメラをはじめとしたソリューションを自治体様向けにご提供していましたが、販売店を介するケースが多かったため、自治体様の生の声を聞いてみたいと考えております。当社では無償で実証実験デモ機の貸し出しを行っていますので、ぜひ一度お試しいただけましたら幸いです。

 


 

【佐藤】

間接的な係りが多かったことから、自治体様からのニーズを正確に把握できていない現状もありますので、たくさんの情報とフィードバックが欲しいですね。皆さんから上がってきた生の情報をもとに、今後よりニーズに合った機器をご提供できるよう、私共から各メーカー様にも働きかけをしていきます。

 


 

【伊藤】

今回はこの場をお借りしまして、前述の「ソーラーパネル付き防犯カメラ」の無償貸出を実施させていただきたいと思います。当社は全国各地に拠点がありますので、必要に応じて現地訪問等のフォローも可能です。全国の自治体様からのご応募をお待ちしております。

 

ソーラーパネル付き防犯カメラの機器仕様

 

 

自治体 無料モニター募集詳細

募集数:先着5自治体様

機器:HIKVISION製 ソーラーパネル付き防犯カメラ

期間:6ヶ月間

費用:無料 ※ポール等への設置費用は自己負担(応相談)

 

ソーラーパネル付き防犯カメラの無料モニターを募集

 

 

 

活用用途の例
  • 防犯・監視
  • 河川水位の観測
  • 積雪量の観測
  • 有害鳥獣対策
  • 資材置き場やゴミ収集場等の監視
  • イベント時の人流測定

※電源がない場所でも工事不要で設置できます。

※夜間や暗所でもカラー映像を撮影できます。

 

株式会社セキュリティデザインの拠点

 

 

株式会社セキュリティデザイン 企業概要

1999年5月設立。コーポレートセキュリティのトータルソリューションプロバイダーとして、入室管理システムや防犯・監視カメラ等のセキュリティシステムを中心に事業を展開。LENEL社、HIKVISION社、Genetec社、i-PRO社等、複数のセキュリティシステムやカメラメーカーと販売契約を締結。物理セキュリティで培ったノウハウを活かし、工場や農場等に向けた幅広いIoTソリューションも取り扱う。全国11拠点。

 

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