自治体PR・業務効率化を支援。高精度の音声認識エンジンが生んだ2つのソリューション
自治体の業務は「人」との接点が多く、接する人の数も膨大である。自治体職員は日々煩雑な他業務と並行しながら、一人ひとりの問い合わせや相談に応じている。それらの業務が、心身ともに多大な労力を要していることは否定できない。
キャラクターAIとの自然な対話が可能な【AI Avatar AOI】と、電話応対を支援する【AmiVoice Communication Suite(以下、Communication Suite)】が、自治体における対人業務のDXに挑戦する。
株式会社アドバンスト・メディア
CTI事業部長 今宮 元輝 プロフィール
- 2012年 アドバンスト・メディア入社。
- 2012年~2016年 コンタクトセンター向け音声認識システムの営業として約8000席へAmiVoice を導入
- 2017年〜2018年 プロダクト事業推進グループ長としてオンプレミスのシステム提案~導入プロジェクトを統括
- 2019年~現在 CTI事業部長として導入プロジェクト、製品開発等事業部運営を統括
株式会社アドバンスト・メディア
CTI事業部 営業グループ 田浦 怜奈 プロフィール
- 大学在学中コールセンター業務に携わり、令和3年に株式会社アドバンスト・メディアへ入社。
- おもに電話応対業務向け音声認識システムのコンサルティング販売業務を担当する。
正確性と柔軟性の両立を目指すAI音声対話アバター
―まずは【AI Avatar AOI】の概要と開発のきっかけを教えてください。
今宮
【AI Avatar AOI】は、PC・スマートフォン、デジタルサイネージ、VR・メタバースなど、あらゆるデバイス上で利用できるAI音声対話アバターです。無人でお客様対応ができるため、問い合わせ対応の省力化・効率化、人手不足の解消、リモートワーク環境における顧客接点の強化等にお役立ていただけると想定して、2022年8月に発表いたしました。
当社の主力製品の一つは【AmiVoice Communication Suite】というコールセンターのオペレーターや管理者向けに業務を支援するためのシステムですが、昨今、世の中で話題になっている「AIによって無くなる仕事」といった調査で「コールセンターの案内係」が上位にランクインするケースが見られるようになってきました。
将来的な市場の動向を正確に予測することは困難ですが、従来のビジネスでターゲットにしていた市場が縮小した場合を考え、常に新たな製品の企画、開発を意識しておりました。
“企業と顧客の接点”という部分で考えると、まだ今の段階では「コールセンターのオペレーター通話」自体は減少していません。しかしコロナ禍以降、対面チャネルが激減する一方でSNSやチャットbot等の活用が拡がり、顧客接点の手段が著しく多様化しました。この現象は、技術の発達とともに今後も加速していくでしょう。
ただ、手段が如何に多様化したとしても、それぞれのチャネルごとに得手不得手というものがあります。対面であれば音声・映像・テキストを全て使うことができますが、無人化はできません。チャットbotは無人で運用できる一方で、音声や映像の使用は難しいことが多いですよね。つまり、対面では当たり前であったものの一部を切り離しながら、ユーザー側が自身のニーズに合ったチャネルを選択しているという現状があります。
その中で、様々なデバイスでAI音声対話アバターが利用できれば、音声・映像・テキストを全て使えて、かつ無人化も実現できるのではないか─。そのような考えに至ったことが、【AI Avatar AOI】開発の経緯です。
─実際の導入事例について
今宮
企業様のメタバースのイベントでお客様案内係として活用いただく等のケースのほか、自治体様における活用事例としては、茨城県公認Vtuber「茨ひより」のAI化が挙げられます。「ニコニコ超会議2023」やシンガポールで行われた東南アジア最大のポップカルチャーイベント「Anime Festival Asia Singapore 2023」にて、茨城県の魅力の発信に活躍したキャラクターです。
茨ひより自体は既存のキャラクターだったので、音声合成エンジン(テキストを声にする技術)の作成にあたっては音声の提供にご協力をいただきました。また、茨城県の魅力を発信するからには誤った内容の発言を出来る限り減らさないといけないため茨城県の特産物や観光名所等を数多く学習させました。
面白い取組としては、茨城県の委託のもと、茨ひよりの企画制作を行っているトリバルコン社と協議してどんな質問をしても全て茨城県の話で終結するようなチューニングをしてみました。たとえば就職活動について相談すると、最初は「大変ですよね、自分のやりたいことを見定めて…」など一般的な回答をしていくのですが、最終的には「茨城県には良い会社がたくさんあるので、ぜひ茨城県に就職を検討してくださいね!」という感じで終わります。正確性を大切にしつつ、遊び心や楽しさを加えて提供している点も特徴ですね。
その他、茨城県庁の受付横にサイネージを設置し、AI茨ひよりが来庁者へ案内する取組を試験的に行いました。県庁のフロアマップ等を学習させ、受付業務をAI茨ひよりが代行したのです。
ちょうど地元の小学生が県庁見学に訪れる時期で、「AI茨ひよりへの質問」が見学のプログラムに組み込まれていました。代表児童数名からの質問に一通り答えることができ、良いものを見せられたなと嬉しく思っています。教育という観点でも面白い施策だったのではないでしょうか。世間からの反響も大きく、テレビ局が取材に来たり、新聞等あらゆるメディアで記事化されたりもしました。
─【AI Avatar AOI】を開発する際に重視したことや苦労したポイントは
今宮
AI対話のアバターやキャラクターは、以前から存在はしていました。しかし従来型のAIは機械学習のような形で教え込んだ内容を答えるだけなので、柔軟性に乏しくユーザー体験として面白味に欠けるという弱点があります。実際に、当社が過去にリリースした【AOIブラウザ】というサービスも、あまり世に拡がりませんでした。
ターニングポイントとなったのは、2022年後半のChatGPTをはじめとした生成AIの登場です。どんな質問をしても自然な文章で返ってくるという技術が一気に拡がったことで、AI対話型アバターを進化させる大きなチャンスだと感じ、いち早く【AI Avatar AOI】もChatGPTに連携させました。
対話力が上がったのは喜ばしいことですが、一方で課題となったのは「ハルシネーションをどう減らすか」ということです。嘘や誤った情報を発信してしまうと実運用に支障が出ます。そこで、事前に教えた情報から参照して正しく回答するようにチューニングする、絶対的な正答がある質問については敢えてChatGPTを噛ませず従来方式のAIに繋ぎかえる等のハイブリッド型で対策することも可能にしました。そうすることで正確性をある程度、確保しながら柔軟性を加え、AI対話アバターへのChatGPT実装を実現させたのです。
また、ChatGPTの文章をアバターがそのまま喋ると無機質な印象になってしまうので、回答の仕方に遊び心やキャラクター性を加えて、ユーザーとアバターが楽しく対話できるように工夫しました。
─音声認識の精度が非常に高いと伺いました
今宮
─【AI Avatar AOI】が目指す今後の展望についてお聞かせください
今宮
電話応対業務の支援に特化した
音声認識ソリューション
─後半は【AmiVoice® Communication Suite(以下、Communication Suite)】についてお伺いします。まずは概要と開発の背景をお聞かせください
田浦
─自治体様を含め、かなり現場への導入が進んでいると伺いました
田浦
─類似製品との差別化ポイントについて教えてください
田浦
─デジタルスキルの問題は自治体DXにおいて大変重要だと私共も認識しています。開発・展開にあたって重視した点はありますか
田浦
─導入された自治体様からのフィードバックや要望・改善点について
田浦
自治体業務の負荷を軽減し課題解決へ導く
─最後に、お二方から自治体の方々へのメッセージをお願いします
今宮
【AI Avatar AOI】は、住民の方々・観光客の方々・その他の皆様と自治体様との新しい接点になると考えています。これからの時代は人口減少や高齢化が加速し、各自治体様が「どのように自らの自治体をアピールしていくか」という課題と向き合っていくことになるでしょう。【AI Avatar AOI】の技術は、それらの分野に間違いなく活用いただけると確信しているので、ぜひご検討いただければと思います。
田浦
【Communication Suite】に関しては、「相談業務」という観点からお話をさせていただきます。自治体様の相談業務は昔からずっと業務負担が高い状態にあると考えています。電話応対はもちろん、児童相談所であれば、48時間以内に直接面会して安全確認をしなければならないというルールがあったりもしますよね。そこで働く皆様は、様々な業務を掛け持ちしながら住民からの電話相談に応じ、記録の作成等も担っていらっしゃいます。
当社の【Communication Suite】は、記録作成までを含めた電話応対業務を協力にサポートできる製品であると自負しています。ぜひ自治体DX推進における検討材料の一つとしてご検討いただき、負荷の高い相談業務の効率化・省力化にお役立ていただけましたら幸いです。
以前は民間企業様が中心でしたが、既に自治体業務への導入も始まっています。具体的にどのようなことができるのかを直接ご案内できたらと思いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
コンタクトセンター向け音声認識ソリューション AmiVoice® Communication Suite
株式会社アドバンスト・メディア 企業概要
音声認識ベンチャーとして1997年12月に設立。翌1998年、Interactive Systems, Inc.社(米国)と日本語音声認識システムAmiVoiceの共同開発を開始。以後、AmiVoiceをベースとして、医療や英語学習等に特化した様々なアプリケーションをリリース。
2009年、コールセンター向け音声統合ソリューション「AmiVoice CommunicationSuite」をリリース。2015年頃より人工知能技術の活用に着手し、2022年8月にAI音声対話アバター「AI Avatar AOI」を開発。