鍵管理のDXで自治体の課題を解決
災害時の避難所の鍵問題にも対応する革新的システム「Traka」
近年、自治体や企業において鍵管理の重要性が高まっている。セキュリティ強化の観点から、誰がいつどの鍵を使用したかを正確に把握する必要性が増す一方で、緊急時には迅速な対応が求められるなど、相反する要求を満たすことが課題となっている。
株式会社トータルリンクが提供する鍵管理システム「Traka」は、高度なセキュリティと柔軟な運用を両立し、鍵管理を根本から変革する可能性を秘めている。災害時の避難所開設における鍵問題など、見過ごされがちだった課題に光を当て、テクノロジーを駆使した解決策を提示する―。
今回、同社の代表取締役 岡井淳氏に、事業の詳細や自治体向けソリューションの可能性、さらには鍵管理DXがもたらす未来について詳しく話を聞いた。
株式会社トータルリンク
代表取締役 岡井淳
大手OA機器ベンダー、大手通信キャリアでの経験を経て、株式会社トータルリンクを設立。
認定パートナートレーニングをシンガポールで受け、Traka認定技術者となる。
Trakaの製品の知識はもちろん、ネットワークやサーバーの知識を活かしたソリューションを提供している。
使いやすさと高いセキュリティを兼ね備えた、高機能の鍵管理システム
御社の設立背景や事業内容について教えてください
当社は2013年12月に設立しました。当初はOA機器の販売とネットワーク構築を主な事業としていましたが、コロナ禍を経て大きな転換期を迎えました。感染症対策の一環としてオフィスの無人化やリモートワークが進む中、従来のOA機器需要が縮小し、多くの企業がDXへとシフトしていきました。
そんな中、私たちもDX関連商品を探す過程で、イギリスの鍵管理システムメーカーTraka(トラカ)と出会いました。Trakaの鍵管理システムは、従来のキーボックスとは全く異なる次元の高機能なシステムでした。例えば、単なる鍵の保管だけでなく、誰がいつどの鍵を使用したかを詳細に記録し、アクセス権限の設定や遠隔操作までできる。そのクオリティの高さと可能性に魅了され、すぐに販売店契約を結びました。
現在は、Traka製品の輸入、設置、メンテナンスまでをワンストップで担う、鍵管理システムのトータルソリューションプロバイダーとして事業を展開しています。単に製品を販売するだけでなく、お客様の課題に合わせたカスタマイズや、導入後のサポートまで一貫して行っているのが特徴です。
Trakaシステムの特徴について詳しく教えていただけますか?
Trakaシステムの最大の特徴は、その高機能性と柔軟性です。1つのキーキャビネットで最大720本の鍵を管理でき、組織のセキュリティポリシーに合わせた多彩なオプション機能を備えています。
特に人気が高いのが予約機能です。これまで多くの組織では、鍵の貸出は台帳への手書き記入や、Excel等での管理が一般的でした。しかし、Trakaシステムでは鍵の予約管理と実際の貸出を一元化できます。例えば、ある部署が来週の月曜日に使用する会議室の鍵を予約しておけば、その日時になると自動的にその部署の人員のみが鍵を取り出せるようになります。これにより、鍵の適切な管理と効率的な運用が可能になります。
他にも、重要な鍵の貸出に複数の承認を要求する機能があります。例えば、サーバールームの鍵を取り出す際に、情報システム部門の承認が必要といった設定ができます。また、遠隔地から鍵の解放が可能なリモートリリース機能も備えています。これは緊急時や、急な来客対応などで非常に役立ちます。
加えて、鍵の取り出し時や返却時に注意事項を表示できるカスタムメッセージ機能もあります。「使用後は必ず施錠してください」といった基本的な注意事項から、公用車の運転日報提出のリマインドをすることも可能です。こうした日報の管理においてもカスタムメッセージ機能を活用することで業務の改善に役立てていただけると思います。
多彩な機能で公用車の稼働率向上
災害時の対応など自治体の課題解決をサポート
自治体での活用イメージは?
自治体の皆さまからは「公用車が足りない」というお声をよくお聞きするのですが、これはリソースではなく管理システムに課題があると感じています。公用車は先々の予定に合わせて予約するため、予定が8時~17時の間と未確定でもとりあえず予約しておく。しかし、実際に使用したのは2時間だけといったケースがあり、本当は使える時間帯があったのに使用できていないケースが多発しているのです。
Trakaの鍵管理システムなら予約を自動キャンセル、自動終了することで、予約なしても車両を使える環境をつくることが可能です。これによって予約の取り合いを防ぎ、稼働率の向上、コストの削減が実現できます。
また、災害などの有事の時も鍵管理システムは有効です。現状、多くの自治体では避難所の鍵は特定の職員が管理しています。しかし、大規模災害時には、その職員自身が被災者になる可能性があります。また、深夜や休日に災害が発生した場合、鍵を持っている職員がすぐに現場に駆けつけられるとは限りません。その結果、避難所の開設が遅れ、住民の安全が脅かされる危険性があるのです。Trakaシステムのリモートリリース機能なら遠隔地から避難所の鍵を解放で、災害対策本部から各避難所の鍵を一斉に解放することが可能です。
また、事前に設定したPINコードで緊急時に鍵を取り出すこともできます。これにより、近隣の住民や消防団員など、事前に許可された人であれば誰でも避難所の鍵を解放できるようになります。内蔵バッテリーにより停電時でも稼働可能なため、停電が想定される大規模災害時でも確実に鍵を管理・提供できます。
今後の展望についてお聞かせください
自治体によって業務フローや抱える課題は異なります。例えば、都市部の自治体では多数の公共施設の鍵管理が課題になっていますが、過疎地域では少ない職員で広範囲の施設を管理する必要があるなど、状況は様々です。そのため、各自治体の状況に合わせたソリューションを検討し、最適な形で鍵管理のDXを推進していくことが重要だと考えています。
最後に自治体の皆様へメッセージをお願いします
鍵管理のDXを取り入れることで、管理の負担や貸出にかかる時間を大幅に削減できます。詳細な利用履歴が自動的に記録されるため、鍵の紛失リスクも大幅に低減できます。実際に、導入後に鍵の紛失事故がゼロになったというケースもあります。
当社では導入前の詳細な現状分析から、導入後のフォローまで一貫して対応しております。現在、20本の鍵管理システムと管理システムの3か月無料ライセンスプランを用意しており、デモ機によるテスト導入が可能です。ぜひ、セキュリティの強化や業務の効率化を実感していただければと思います。
我々は自治体の皆様の挑戦を全力で支援し、住民の安全・安心を守る取り組みをサポートいたします。より効率的で質の高い行政サービスの実現に向けて、鍵管理のDXを共に推進してまいります。
(取材日:2024年10月8日)